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「人食いハンニバル」シリーズって……まあ間違ってはいないんだけど、なんだか違和感があるなあ。「なぜレクター博士が悪に対する異常な欲求を持つようになったのかのいきさつが判明する」という出版社の宣伝からすると、これが以前から噂の「ヤング・ハンニバル・レクター」なのかな。「研修医ハンニバル・レクター」とか、「Dr.ハンニバル・レクター診療所」とか「ハンニバル・レクターによろしく」とかそんな感じになるんでしょうか。トマス・ハリスも書きゃいいってもんじゃないと思うのだけれど、巨額の出版権と映画化権料に負けたんでしょうか。
 だいたい、レクター博士がなんで悪になったかのいきさつなんて、判明しなくていいんですよ! レクターは常人の理解を超越した孤高の天才だからよかったのに。『ハンニバル』では幼時のトラウマまで持ち出してレクター博士の神秘性をはぎ取っておきながら、まだ足りないんですか。
読冊日記

現在も"the silence of the lambs"を毎日数ページずつ読んでいるのだが、これは本当に傑作。「ブラック・サンデー」も「レッド・ドラゴン」もそれぞれ面白かったし、「ハンニバル」も途中までは十分に楽しめた。だが、「ハンニバル」のあのラスト!脱力したなあ。新作は、まあ、ここまで付き合ってきたんだから読むとは思うけど、期待はしない。「ヴァンパイア・レスタト」シリーズもそうだったけど、レクターのようなキャラクターは、読者にとって親しみやすい存在になったらおしまい。トマス・ハリスほどの人がそういったことをわかってないはずはないのに、どうしてこうなるんだろう?金……はありあまるほど持ってるはずだし……もしかしたらオレのような凡人には思いつかないようなすごい話が書けたのかもしれない……といいな。