河合隼雄死去

79歳。脳梗塞。昨年8月に倒れられてから、意識が戻らないままだったそうだ。以前にもここで書いたが、個人的に河合先生の著作から多くを学んだ。現在の演出方法に至るための、とても大きなヒントを与えてくださった。『弟オレステスの放浪と帰還』を演出したとき、出演者のお一人が河合先生と親しくされており、「もしかしたら、見に来てくださるかも」と言われたときが、一番先生に接近した瞬間だった。一度お目にかかって、「ほう、ほう」という相づちを聞いてみたかった。だが、図書館にも本屋にも先生の本はいくらでもある。こちらにその気があれば、いつでも先生のお考えに触れることは可能だ。河合先生は精神生命体となられて、もはや滅びることはない。不滅の存在になられたのである。