ラスト・ファイヴ・イヤーズ@YOKOHAMA BLITZ

suzukatz2007-10-21

「ジェイミー、キャシーとの2度目の出会い」

『L5Y』との出会いは、僕にとってとても貴重なものであった。いや、感謝してると言ってもいい。なぜなら、僕に音楽と演劇が融合している作品(あえてミュージカルとは呼ばない)への門戸を開いてくれたからだ。
極端にセリフが少なく、全編音楽に支配されている作品。こういうことがやってみたかったんだ!と、初演時に心底思えた。だから、再演の話が持ち上がったときには、一も二もなく「やりましょう!」と答えた。
そして、今回の稽古に入り、あらためて「好きだなあ、これ」と実感した。さらに、何度も何度もやりたい、と思っている今日この頃なのである。

だが、『L5Y』との出会いが重要だったのは、それだけではない。
音楽がいい、などというのは、今さらという感じだ。音楽物を手掛けるなら、曲がいいというのは大前提である。
男と女の時間軸が逆転しているというアイデア?素晴らしいけれど、ほかでは考えつかないというほどスーパーなものでもない。
では、なぜ?
それは、これが"恋愛物"だからである。

僕はこの作品に出会うまで、ほぼ完璧に"恋愛物"を書かなかったし、演出もしてこなかった。別に"恋愛物"が嫌いなわけではないし、『ノッティングヒルの恋人』を見て密かに泣いたり、熱愛報道なんか出ようものなら、ネットで細かくチェック入れたりもする。だが、舞台でそれを表現するとなると、どうもテレてしまったり、恥ずかしくなってしまうのだ。男子校体育会系出身者の弱みであろうか。
しかし、"恋愛物"は芝居や映画、いやエンタテイメントの王道である。この仕事を選んで、避けては通れない。いつかはやるぞと心には決めていた。そうして、最強の作品が現れるのをジッと待っていたのである。

そして、選んだ究極の"恋愛物"が、この『L5Y』なのである。
ジェイソン・ロバート・ブラウンの体験に基づいているので、かなりリアリティが高いが、それでもベタベタな"恋愛物"である。
それなのに、稽古が始まったら、もうテレも恥ずかしさなどは微塵もなく、1曲1曲泣きながら見ていた。やはり、音楽とラブストーリーは、最強タッグだったのだ。

ジェイミーとキャシー、また出会えて、本当にうれしく思っています。

鈴木勝秀(suzukatz.)

日本全国、ご来場くださいましたみなさま、誠にありがとうございました。何度でもやりたいと思っておりますので、そのときはまたよろしくお願いします。