HYMNS@青山円形劇場

suzukatz2008-05-25

closed。ご来場くださったみなさん、誠にありがとうございました!
個人的には、最後の数回見れなかったのが心残りです……ZAZOUS THEATERは天に返しましたが、suzukatzは相変わらずsuzukatzのままです。パンフレットに載せたテキストをアップしておきます。テキストは2つあって、パンフレットの最初と最後に分けて載せました。

「作品は、僕を映す鏡」

LYNX(リンクス)』『MYTH(ミス)』『HYMNS(ヒムス)』
それぞれ末尾の綴りは違うが、日本語表記に直すと、全部『ス』という韻を踏む。
だから、このシリーズは『ス』三部作であり、『スズカツ』三部作。

僕は、自分の演出作品を可能な限り見る。
ダメ出しをするためではない。
見たいのである。
なぜなら、舞台上には、今現在、僕の好きなものが溢れているから。
そして、そこには現在の僕が見える。

僕が、ZAZOUS THEATER(ザズゥ・シアター)でずっとやってきたオリジナル作品は、古くからご覧いただいている方はご存知のように、カット・アップの手法で脚本が作られている。
僕がこれまで読んできた、様々なテキストがサンプリングされ、散りばめられているのだ。
オリジナルとはまったく違った文脈に投げ込むので、意味そのものが変容しているが、厳密な意味で僕のオリジナル言語ではない。
ちなみに今回は、意図的に過去のZAZOUS THEATERの作品をサンプリングした。
それをもとに、美術、照明、音響、衣裳などの各プランナーにデザインを考えていただき、僕ではない"他者"である俳優の方々に演じていただく。
つまり、オリジナル作品と名乗ってはいるが、自分では何もせず、すべて"他者"に具現化してもらっているのである。
それなのに、できあがった作品を見ると、自分でも気づいていなかった"僕"をいくつも発見する。
『HYMNS(ヒムス)』も、間違いなく現在の"僕"を映し出している。
まさに、僕にとって鏡なのだ。

鈴木勝秀(suzukatz.)
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「ZAZOUS THEATER(ザズゥ・シアター)を天に返す」

ZAZOUS THEATERとは、元々鈴木勝秀プロデュースユニットの別名である。
ただ、鈴木勝秀プロデュース公演ではかっこ悪いので、ZAZOUS THEATERと名乗った。
当初の目標は、「何でもあり。ただし、すべてプロフェッショナルの仕事であること」。
だが、公演を続けるうちに、ZAZOUSっぽいという、あるスタイルができあがり、三十代はそれを深めることに専心してきた。
そして、"ZAZOUSっぽい"もの以外を作らないようになっていった。

しかし、"スタイルを深める"ことは、同時に"何でもあり"に反することであった。
それは本意ではなかった。
本来、自由を求めて表現活動の場に身を置いたはずなのに、どんどん不自由になっていく。
ZAZOUS THEATERに縛られていく。
解放されたいのに、自らを隔離していく。
気がつくと、そこから抜け出せなくなっていた。
そして、僕は三年間芝居から離れた。

その三年間は、作品を模索したのではなく、「何でもあり」=「自由」を獲得するための方法論を考え続けた。
結論は、意外と早い段階で得られた。
「自分からは何もしない」
しかし、そんなことで本当に芝居を作ることができるのだろうか?
オレはデュシャンじゃない……さらに、考え続けた。

ZAZOUS THEATERと名乗らなくなって十年。
ようやく、ZAZOUS THEATERを天に返す決意ができた。
さらに「何でもあり」を追求していく覚悟である。

鈴木勝秀(suzukatz.)