L5Y@ひこね市文化プラザホール

closed。『L5Y』すべての公演が終了致しました。5年かけて、このレベルまで達することができたのは、今後へ向けて大いに力になりました。これも、劇場に足を運んでくださるみなさまのお陰です。今後ともよろしくお願いします。パンフレットに掲載したテキストをUPしておきます。

Q、人生の中で印象に残る自身の5yearsはいつですか?
中学・高校でサッカー選手として生きていた日々。まちがいなくあのころに自分は形成された。
"suzukatz."と名乗ることになるのは、もっとずっとあとの話だけど。
「For The Next 5 Years ?」
2005年に山本耕史と出会って丸5年が経過する。
山本耕史、そして、この『ラスト・ファイヴ・イヤーズ』(『L5Y』)に出会って、僕の演出家としてのキャリアは大きく拡がった。それまではストレート・プレイ・オンリーだったのが、ミュージカルも演出するようになったからだ。もっとも、山本耕史とやるミュージカルは、おたがいにそれをミュージカルだと思っていないのだけれど。いずれにせよ、世間的にはミュージカルと呼ばれる作品を、山本耕史と作ることで僕はたくさんのことを考える。たくさんのことをしてくれるのは山本耕史だが、僕はその分たくさん考えさせられることになるのだ。なぜ考えるのか?それは山本耕史が可能性=未来を見せてくれるからだ。
以前、山本耕史は「どうせなら高い壁に挑みたい。だって高い壁に登れたら、もっと広いところが見えるでしょ」と語った。僕は懸命に考え、その壁の向こうの風景を想像する。それは至福の時間である。
山本耕史は、一般的には芸能人として認知されているかもしれない。実際、デビューは0歳。芸歴と年齢が同じ人間などそうはいない。芸能界で生まれ育ったと言っても過言ではないだろう。だが、舞台を一緒に作ったことのある人間、舞台の山本耕史をご覧になったことのある方々には、純粋な"表現者"として認識されているのではないだろうか。常に目標を高く持ち、妥協しない。完成ではなく、さらなる高み、深みを探求する──名前だけのアーティストには持ち得ない、芸術家のメンタリティがあるのだ。多くの若い俳優たちにも、ぜひそうあってほしいと僕は願っている。
『L5Y』は、初演、再演と山本耕史の相手役に、初めてミュージカルの舞台を踏む若手シンガー、女優を起用してきた。山本耕史と稽古場にいると、素晴らしい化学反応がおきるのか、驚くほどの吸収力で歌、演技、踊りを身につけていく。そして、自ら「もっと、もっと」と求め始める。今回の村川絵梨も例外ではなかった。新人は山本耕史と組ませるに限る、なんて。
5年間は過ぎた。では、この先どうすればいいのか?次の5年──For The Next 5 Years──稽古場でもそれを考えずにはいられなかった。ヒントはある──オリジナル。
本日はご来場いただき、誠にありがとうございました。ごゆっくりお楽しみください。
鈴木勝秀(suzukatz.)