iwamatsu

チエホフについてあつく語ってくれた。シェイクスピア〜チエホフ〜ベケットという流れが彼の中にあるという。ユージン・オニールは、せっかくチエホフが高めたものを、またもとに引き戻してしまっただけらしい。シェイクスピアは、特別な人間を描く。セリフも断定的で、「好きだ!」と言えば、それは「好きだ!」という意味だ。ところがチエホフは、登場人物を並列的に描く。特別な人間の特別なとき、ではなく、日常の中にドラマを見出している。セリフも不確定的で、「好きだ!」と言っても、それは多様な意味をはらみ、つまり曖昧さが付加されることにより人間味を増す。さらにテネシー・ウイリアムズにも話は及び、彼も重要なのは2本だけと考えている。その2本とは、もちろん「ガラスの動物園」「欲望という名の電車」。