ワールドカップ予選:イングランド vs 北アイルランド

4-0[0-0,4-0]J.コール、オーウェン、own goal(Baird)、ランパード
美しいサッカーを見た。強いサッカーを見た。完璧なサッカーを見た。もちろん、この試合がそのままワールドカップ本大会に反映されるとは思わない。だが、現時点でイングランドは最高のチームだ。エリクソンが時間を掛けて作り上げた芸術品だといっても過言ではない。これほど完璧なチームには滅多にお目にかかれない。特に代表チームでは。74年のオランダ、98年のフランスくらいか。北アイルランドも地道にディフェンスして、前半の猛攻を0-0で折り返すところまでは良かったが、いかんせん攻撃がなさ過ぎた。あの戦術では0-0狙いだったのだと思うが、カウンター攻撃に鋭さがなく、イングランドはほとんど2バックで守っていた。サイドにもセンターにも、常にそれぞれ2カ所以上パスコースがあって、ベッカムランパード、ジェラードが交互に決定的なパスを入れる。オーウェンルーニージョー・コールが何度もドリブルでエリアに切れ込む。その外側をアシュリー・コールガリー・ネヴィルが駆け上がる。ポジションチェンジが激しく行われても、基本陣形はまったく崩れない。ランパードがあがったら、ベッカムボランチのポジションを埋め、ジェラードは左右どちらのサイドにも出て行く。ボールはほとんど2タッチ以内で回っているので、ものすごく速いサッカーに見えるが、選手はそれほど長距離を何度も走っているわけではないので、省エネになっている。しかも、パスにもトラップにもミスがほとんどない。そして、ファーディナンドとテリーのセンターバックは、認定世界最強コンビだろう。今日の試合に関して言えば、イングランド懸案のGKは、誰がやっても無失点で終われたはずだ。2006年ドイツ本大会で、イングランド2度目の優勝だって十分にありうるなあ、とこんな時期に思ったりさせるほど素晴らしいデキだった。