新幹線読書(復路)。
漱石、45歳のとき(
明治44年8月)に行った、
朝日新聞社主催の関西地方講演の記録と、その3年後(大正3年11月25日)に行われた
学習院大学での講演を収録。公演先ごとに違うテーマを据えて、自身の思想を語っている。「職業と道楽」「
現代日本の開化」「中味と形式」「文芸と道徳」(以上45歳のときの講演旅行)、「私の
個人主義」(
学習院)。個人的には、「職業と道楽」「
現代日本の開化」が面白く、また、「私の
個人主義」で主張されている
個人主義は、現代人にこそ必要な提言であると受け止めた。なんにせよ、
漱石は近代日本にとって、最重要の思想家であり、しかも、平易な言葉でそれを表現できる希有の存在であったことを思い知らされる。