夢の書―わが教育
知り合いのデザイナーから、ウィリアム・バロウズ『夢の書 わが教育』(山形浩生:訳/河出書房新社)をいただいた。翻訳者の山形氏が『たかがバロウズ本』で書いていたが、一般の読書家で、ほんとにバロウズを通読した人など、滅多にいないのではないか。『麻薬書簡』とかの手紙、エッセイなどならまだしも、カットアップ小説になると、翻訳したり、映画にしたり、ということでもなければ、とてもじゃないが読み進めることができない。それでもこうやって死後も翻訳され、しかもちゃんと売られている。インチキだなあ。やはりバロウズは偉大なインチキだ。作品ではなく、その生き様がアートである。作品には必ず作った人間がひっついている。そして、実はその人間が何を考えたかだけが重要なのである。作品は多くの場合、目くらましになっている。