女中たち/本多劇場

実は、23歳ではじめて演出したのが、ジュネの『女中たち』なのだ。Lucky Rock Bell企画という、劇団の枠を超えて、早大劇研同期3人(ソランジュ:吉田紀之/クレール:岩谷真哉/奥様:私)のユニットでやった。舞台の上には、割れた大きな姿見と、暗幕で包んだ平台と箱馬。花は小学校の学芸会のようにティッシュで作った。さらに勝手に書き直して、ラストで奥様がもう一度現れ、毒入りのお茶を飲み干し、カップを壁に叩きつけて粉々にした。奥様は支配者という名の怪物。毒くらいで死にはしない。さらに、被支配者の女中には死ぬ自由すら与えないのだ!でもって、ありったけの照明を鏡に集めて、ジョン・レノンの「孤独」が静かに流れ、とっても息の長いフェイドアウトで暗転していく。これが現在の自分の原点。