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suzukatz2011-02-17

いよいよ帰国である。そろそろ帰りたくなってはいたので、ちょうどいいくらいのタイミングだと自分では思う。
ホテルからパディントンまで歩いて、ヒースロー・エキスプレスで空港へ。空港に着くと、とりあえず到着ロビーへ行って、OYSTER CARDを返却して、保証金と残高をバックしてもらう。妻とふたり分で15.1ポンド。なかなかうれしいシステムだ。チェックインはネットですませてあるので、出発ロビーへ行って搭乗券をプリントアウト。荷物を預け、マフィンとカフェラテで軽く朝食にする。出発ゲートには、徐々に日本人が集まってくる。そこここで日本語が聞こえる。すでに日本に着いてしまったかのような感じだ。
12:45、離陸。ブリッティシュ・エアウェイズBA5便東京行き。帰りもワールド・トラベラーズ・プラスという、エコノミーよりちょっとだけゆったりした席。機内放送も日本語ありで、ますます日本が近づいてくる。たった3週間ほどのことであったのに、ある安堵感を感じる。家へ戻るということは、本来安堵感があるものなのだと思う。それは日本国内にいても同様のはずで、"家=ホーム"は重要な拠点であることを、再認識する必要がある。そして、"家=ホーム"が明確になれば、自分のやるべきことも明確になるはずだ。人生は常に仮の宿、という考え方もあり、人はみな旅人、という考え方もある。だが、自分はまちがいなく定住型である。定住するのが日本である必要はない。ロンドンでもミラノでもいい。だが、定住する場所が必要で、旅はそれほど必要ではないのだ。次は、ミラノに長期滞在したいものだ、などと思ったりする。
河合隼雄遠藤周作の対談を読んでいて、「精神の王国を築き、その王国の王者となる」という一文についてしばし考える。遠藤周作を初めて読んだのは、中学1年のころだった。カトリックの学校に通っていたこともあって、遠藤周作キリスト教系の作品は学年指導の神父からも推薦されていた。そのせいもあって、かえって避けてきた。それが、このところ妙に気になり、「海と毒薬」などから読み直している。
サッカーやビートルズだけではなく、自分が好きなものは、すでに中学生までにほとんど出会っている。自分の知ることのできる世界は、実はとても狭い。好きなものも、実はとても少ない。だが、狭い中から、少ない好きなものをコンプリートするのは、とても大変。嫌いなもの、つまらないと感じるものは、どんどん捨て去るがよろしいのでは?などと極端なことも考えながら寝る。
窓の外が次第に明るくなる。あと2時間12分。眼下はロシアをそろそろ抜けるところ。地図で航路を確認すると、ほとんどロシアの上を飛んでいる。あらためてロシアの広さに圧倒される。そして、シベリアの誰も住んでいない土地を眺めていると、得体の知れない恐ろしさも感じる。多分、それは死のイメージなのだ。
機内の音楽放送で、何気なくDaivid Bowieの「Station To Station」を聴き始める。もちろん、何度も聴いたアルバムだ。ところが、ボーナストラックのライブは、これまでに聴いたことのない音源で、すごくカッコイイ演奏だった。だが、聴き始めたのが遅すぎて、着陸態勢に入ってしまったから、全部を聴くことができなかった。帰ったら必ずチェック。
もうすぐ成田だ。

・The Royal Park HotelPaddington:walk
Paddington→Heathrow:Heathrow Exp.
・Heathrow→成田:BA5/16J

・ウォーホルの自画像が、予想の2倍を超える14.5億円で落札らしい。死んでからも堂々たる詐欺師っぷりで、本当に素晴らしい。