ユングとオカルト/秋山さと子/講談社現代新書

著者は、1964年から68年までユング研究所に在籍した精神分析学者。ユングのオカルトへの傾斜には興味があるのだが、この本はむしろオカルトの歴史、みたいな内容で、ユングのオカルトとの関わりについては、あまり深く触れていないし、よくわからない。そのかわり、グノーシス主義から錬金術、薔薇十字団、フリーメーソンへと繋がる秘密結社と芸術家たちの関わりなどの基本知識については、かなりわかりやすく説明されている。ユングの思想的背景の解説をしようとして、キリスト教の裏の歴史に踏み込み、新書にしてはフィールドが広すぎた感じに思えた。