SERIE A: ACミラン vs インテル (121008)

0-1 [0-1, 0-0] サムエル

チームの世代交代を目指しているのか、FFP(ファイナンシャル・フェアプレイ)を意識したのか、単なる財政難なのか、両チームとも夏のマーケットでは、高額選手を売るばかりで、サポーターが納得するような補強は行われなかった。
だが、少なくともインテルは、ストラマッチョーニの使いやすい選手とバランスを考えてのチーム編成が行われたので、チームは機能している。
皮肉にもスナイデルの負傷によって、カンビアッソが明らかなチームリーダーとなったことが、チームにまとまりを与えている。
現在、インテルは3バックを採用しているが、ディフェンスはうまくいっている。
ハンダノヴィッチは、予想通り危なげないゴールキーピングで、ジュリオの穴を感じさせない。
そして、ラノッキアに自信を取り戻させたのは、ストラマの一番の功績である。
シルベストレが少々フィットできていないが、センターバックが余っている現在のインテルに、3バックは向いている。
しかし、何よりも見ていてストレスを感じないのは、中盤に運動量が戻ってきたことである。
カンビアッソを中心に、長友、ガルガノペレイラ、オビ、と戦術に忠実でしっかり走れる選手を交代で使えるのは大きい。
もちろんサネッティは今年も健在である。
グアリンヤヤ・トゥレのような選手に育つことを夢見て、今はあまり多くを求めない。
かわりに攻撃には問題が多い。
中盤も攻撃の部分では、違いを生み出すことができる選手が不在である。
インテルミランの間でカッサーノパッツィーニを交換したのは、これまでのところインテルに有利に働いているが、カッサーノの個人技頼みでは、シーズンは乗り切れない。
ほとんどの場面でミリートが孤立することが、深刻な問題である。
いずれケガが完治すれば、パラシオがミリートの負担を軽減できるようになるとは思うが、ミリートは元々一人でどうにかするタイプのストライカーではない。
ミリートがゴールを量産するには三冠時のエトーのようなパートナーが必要なのだ。
そこで、コウチーニョの成長が期待される。
個人的に、現役選手の中でインテルに一番ほしい選手は、マンCのシルバである。
コウチーニョにシルバのようなプレーを期待するのは酷か?
また、リッキーをストライカーに転向させることはできないのだろうか?とも思う。
ゴールに近いところでプレーさせたら生きるかも。
少なくともサイドアタッカーではないのは明らかなのだから。
なんだか惜しい。
だが、惜しい選手は昔から掃いて捨てるほどいたわけで、特に期待せず覚醒することを願う。
一方、ズラタンチアゴ・シウバを売り払って、代わりの補強ゼロのミランは、まさに苦況に立たされている。
モントリーヴォにゲームメイクを期待しているのだろうが、ボアテンクとの相性が良いとは言えず、ミドルシュートをくり返すばかり。
ディフェンス・リーダーがメクサスというのも、これまでのマルディーニネスタチアゴ・シウバと比べると(比べるな!)、百万倍見劣りする。
しかも、アッレグリは戦術を徹底させることにも成功していないので、ミランとは思えないような連携ミスが多発。
今シーズン中にミランが復活するとは到底思えない。
ボーヤン軸で攻撃を考えなきゃならないところには同情するが、そこを何とかすることが監督の仕事であって、単に優勝当時の戦術を押し付けても意味がない。
選手が変われば、戦術も変えるべきだ。
アッレグリ自身が混乱しているのだろう。
その点、ストラマの柔軟性は評価できる。
ガスペリーニの失敗は、戦術にこだわって、チームの信頼を得られなかったことに尽きると思う。
実際、今3バックが機能してるわけだし。
いろいろ見方はあると思うが、後半すぐに長友退場で10人になったが、はっきり言ってこの試合は負ける気がしなかった。
インテルがさらに得点することも考えづらかったが、それ以上にミランは混乱していた。
ストラマにはツキがあるようで、いろいろなことがなんだかうまく転がっている。
少なくともインテルが自信を取り戻しているのは間違いないので、このまま勢いに乗れることを願う。
やはりCLを戦えないのはツラい。